LL.M留学の意義、あるいは留学のメリット・デメリットについて

Great post about the LL.M program in the U.S.

バークレーLL.M留学記/若手弁護士のネタ帳

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以前にも書いた通り(⇒こちら参照)、LL.M留学は非常に高額で、生活費も含めると軽く1000万円以上のお金がかかります。また、留学準備からして、TOEFL受験は1回2万円かかりますし、英語の勉強(⇒こちら参照)のために、場合によっては仕事をしながら塾や英会話教室等に通う必要があるでしょうし、推薦状を書いてもらったり(⇒こちら参照)、パーソナルステートメントを仕上げるのも大変です。さらに、最低でも9か月、NY Barも含めると約1年間、仕事を離れることになります。特にある程度期が上の弁護士で、自分のクライアントが多数ついているような場合には、長期間仕事を離れること(=クライアントを手放すこと)は大きなデメリットになりえます(大手法律事務所や外資系法律事務所の若手アソシエイトの場合には、普通自分のクライアントというのはあまり無いかもしれませんが……)。

はたしてそれだけの多大なコストを払う価値はあるのか?これから留学を考えている人は、気になるところだと思いますので、留学生活を終えた今、あらためて留学の意義について振り返ってみたいと思います。

1.結論として

結論から言うと、私個人としては、将来どうキャリアに影響するかはわからないという意味では不確定な部分もあるものの、現時点では、金銭的・時間的・労力的コストに見合うだけの価値はあったのかなと考えています。

2.なにが良かったか

①キャリアへの影響?
②米国法の勉強
③英語力の向上
④クラスメートとの交流、人脈形成
⑤アメリカでの生活
⑥就職活動?
⑦まとめ

①キャリアへの影響?

一般的には、特に日本の弁護士にとって、LLMに留学してアメリカの弁護士資格をとるメリットとしては、そのほうが外国のクライアントや外国の弁護士に受けが良い(信頼されやすい)ということがまず挙げられるのではないかと思いま す。したがって、LL.M留学に来ている日本人の多くは、海外にクライアントをもついわゆる渉外系か外資系の法律事務所の弁護士です。

ただし、このメリットが本当に意味を持つのかどうかは、将来になってみないとわかりません。将来的にも継続して渉外的な案件にたずさわれるかどうかは不明ですし、またLL.Mに留学してNY(やCA)の弁護士資格を持っている日本人はたくさんいるので、渉外的な仕事をするにしても、実際の所それがどの程度差別化につながるのかもよくわかりません(アメリカの弁護士資格については、そもそもまだNY Barを受けてもいないので、受かるかどうかもわからない、というのもあります。)

②米国法の勉強

弁護士や企業の法務部の方にとっては、普段業務で使ってい る法律が米国由来のものがけっこうあるので、そういった法律を深く勉強することで、米国法だけではなく日本法の理解にも役立ったり、逆に今までやったことのない分野の法律を勉強してあらたな業務分野を開拓できるというメリットもあります。

私の場合は、Business AssociationsM&AAntitrust(とSilicon Valley Antitrust)などといった日本での業務に関係する科目を主に履修しました。普段業務で使っていても、なかなか体系的に勉強する機会は無いので(特に、日本法はまだしも、外国法を一からじっくり体系的に勉強するのは、実務をやりながらだと厳しいです)、良い機会になったと思います。日本法との比較や日本法の復習までできればさらに良かったのですが、9か月という短期間ではそこまでは手が伸ばせませんでした・・・。

また、私はちょっとミーハーなこともあって、New Venture FinanceFundamental of Business(マーケティング、アカウンティング、マネジメントをテーマとしたビジネススクールの授業)といった、今まで触れたことが無いけれどなんとなく面白そうな科目もとってみましたが、これも自分の幅を広げるうえで非常に勉強になりました。

人によっては、NY Barを意識して、Barの受験科目を多めにとるというケースもあるようです。しかし、個人的には、そこまで考えず、自分の興味がわく科目をとったほうがよいのではないかと思います。それでなくても、9か月で履修できる科目数は想像以上に限られていますし、予習の量はどの授業も大概多いので、興味のあるものでないと苦痛です。また、ロースクールでの授業は、広い分野を薄く勉強することが求められるBarの試験対策と異なり、基本的には個別の判例を深く学ぶので、そこまでBar対策に役立つわけでもない、という話も聞きます(ほんとかどうかは、まだBarの勉強をちゃんと始めていないのでよくわかりませんが……)。

③英語力の向上

留学すると、準備段階でTOEFLの勉強をし、留学後はアメリカで生活し、授業を聞き、試験を受けることになります。当然英語を使う機会は間違いなく日本にいるより圧倒的に多いですので、留学しないよりは、したほうが向上するのは間違いないでしょう。

個別にみると、リスニングとリーディングは、 毎日授業を聞くのと課題を読むので、かなり鍛えられたように思います。スピーキングは、なるべく意識して積極的に外人と絡むようにしていたので使う機会は多 かったのですが、主に非ネイティブのLL.Mが相手なので、逆にかなりブロークンな感じになってしまったかも?ただ、ある程度度胸はつきました(「ああ、文法 とかテキトーでも、とにかくコミュニケーションが取れればいいんだな」という感じで)。あと、週に1回だけですが、YWCA主催のネイティブとの1対1の英会話教室(⇒こちら)に行っていたので、これも少しは役に立ったかなと思います。ライティングは、基本的には試験やペーパーでしか使う機会がないの で、そこまで伸びてはいないかなぁという気もします。ただ、エッセイの書き方とか、アメリカの期末試験の効率的な書き方とかを通じて、シンプルでわかりやすい法的な英語文書の書き方の基礎は学べたのかなと思います。あと、ジャーナルの仕事を経て、英語論文を書く際には必須のブルーブッキング(文献引用)の基本も学べました。基本的な法律英語の語彙力も鍛えられたと思います。

ただ、9 か月(その前のニューヨーク研修とこの後のNY Bar受験も含めると約2年)という短期間なので、限界はあります。もちろんネイティブレベルにはまだほど遠いですし、全体的にまだまだ向上の余地があるので、継続的にブラッシュアップを続けることが大切なのかなと思っています。

④クラスメートとの交流、人脈形成

一般的に、世界中の国からきたクラ スメートと交流できることは、見逃せない留学のメリットだと思います。特に、LL.M生はほとんどみんなアメリカ外からの学生で、皆ホームではなくアウェイなので、「新たに友達を作ろう」と考えている点が共通していて、外人の友達を作るハードルが低いということはうれしい点です。日本の中にいてはまず会うことは無かったであろう国の人たちと毎日付き合うことで、色々な考え方に触れることができ、自分の視野を広げるきっかけになります。法律的な議論をするにあたっても、やはりそれぞれアプローチの違いがあって、勉強になることが多いです。

また、はるばるアメリカのトップクラスの大学に留学にきている(これている)人達は、各国内でも非常に優秀な層の人が多いです。というのも、クラスメートの話を聞いていると、やはりまだほとんどの国は日本より物価水準(=給与レベル)がかなり低い。それにもかかわらず、日本人ですらめちゃめちゃ高いと感じるLL.Mに留学にきているというのは、奨学金・学費免除その他のサポートを受けられているか、LL.Mに自費で来られるほど稼いでいるかということで、どちらにせよすごいことです。親や家族のサポートで来ている若い人たちもたくさんいますが、それはそれで親がとてつもない教育費をかけているので、やはり優秀な人が多いです。彼ら、彼女らの多くは、勉強にも遊びにも気合いが入っていて、非常に刺激になります。

もちろん、人との出会いには運もあります。幸い、私が卒業したBerkeley LL.MのClass of 2013では、合計50か国近くから、160人以上のクラスメートが集まっていましたので、毎日が今まで触れたことのないよう な刺激に溢れていました。それまでほとんど名前しか聞いたことのなかった国や名前を知っていてもなじみの薄かった国(インドネシア、スイス、ポーランド、 フランス、サウジアラビア、ケニア、チリ、マリ、ブラジル、中国、台湾、チェコ、マレーシア、ギリシャ、韓国・・・挙げていくとキリが無いです)出身の友人がたくさんできたのは、留学を しないとまず得難い収穫でした。また、Class of 2013はたまたま日本人が割と多く、皆さん非常に優秀かつ個性豊かで楽しい方ばかりだったので、困ったときには助け合いや情報交換をさせて頂いたり、一 緒にイベントをしたりできたことも、出会いの運に恵まれていたなと思います。

将来、仕事的な意味で、ここで培ったネットワークが生きてくるのかどうかは未知数ですが、素晴らしい友人が出来たということだけでも、充分意味はあったのかなと思います。ちなみに、世間の傾向はよくわかりませんが、LL.M留学に限っていえば、フェイスブックの影響力は健在で、留学中クラスのイベントや教科書の交換等多くのイベントがアップされますし、卒業後も気軽にKeep in touchするためのツールになりますので、留学するのであれば、フェイスブックはやっておいて損はないと思います。

⑤アメリカでの生活

アメリカという慣れない環境で、英語を使って一から生活をセットアップして何とかやっていくこと自体、良い人生勉強になりました。アメリカはもちろん文明国なので、そこまでハードルは高くないかもしれませんが、郵便事情送った荷物が届かないとか日常茶飯事)、引っ越し事情運び方が雑で中身が壊れるとか日常茶飯事。ピックアップ時間はもちろん守られない。)、住宅事情それなりの値段で、家族で住んでも安全快適な住まいを探すのは大変。基本高い。)、医療妻の妊娠、出産、子供の検診。アメリカの出産は、夫も同じ部屋で立ち会えるので思い出深かったですが(あと子供がアメリカ国籍も得られるというオマケつき)、高かったー・・・。あとそういえば留学当初バスケで骨折もしましたし、あといきなり39度越えの高熱が出て寝込んだり、ハーフマラソン中に倒れたりもしました(苦笑))、チップ制度最初は慣れない。明らかに日本より悪いサービスになんで金払わなきゃいかんのか腹が立つこと多数)、保険超高い。あと、カバー範囲が細かく設定されていてめんどくさい。医者も自由に選べなかったりするし)、税金去年はニューヨークで収入があったので確定申告に四苦八苦)、食べ物日本とは売ってる食材がけっこう違う。ただし、値段は全般に安い)、その他もろもろ、大きなことから細かいことまで、やはり日本とは勝手が違うところも多くて、色々苦労もありました。が、そういった苦労も含めて、振り返ってみれば良い経験になりました(まだこれから帰国の際にひと苦労ありそうですが^^;)。あと、アメリカは何でも交渉の国なので、とりあえず交渉してみるというマインドを身に着けられるというのもメリットの一つかもしれません(私は弁護士のくせに、自分の生活面ではあまり交渉するのは好きではないのですが、こちらにきて前よりは「とりあえず言うだけ言ってみよう」と思うようになりました)。

もちろん、生活面でも、苦労したことだけではない、というか、むしろ楽しいことのほうが圧倒的に多かったです。やはり留学中は、勉強が大変とはいえ、仕事をしているよりは時間に余裕があり、また自分で自由に使えるというのが大きいです。まだそこそこ若いうちに(アラサーだけど)、アメリカ各地を旅行して、アメリカの大きさに圧倒されたり(⇒こちら参照)、東海岸と西海岸の雰囲気を肌で感じられたり(⇒こちら参照)、マラソンやゴルフといった新しい趣味に挑戦したり、すぐには役に立たなさそうな本をたくさんじっくり読めたり、安くて美味しいワインやビールをたくさん飲めたり、妻や産まれたばかりの子供とすごす時間を山ほどとれたことは、弁護士として役に立つのかは不明ですが、素晴らしい経験でした。

⑥就職活動?

以前にも書きましたが(⇒こちら参照)、LL.Mを卒業した後にアメリカで法律職に就職できる可能性もあり、これもメリットといえるでしょう。ただし、道は非常に険しいです(日本にいたらゼロなので、望むなら挑戦する価値はあるとは思いますが)。

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